世の中には二種類の人間しかいない。
「すいません、コーヒーおかわりください。」と言える人間、言えない人間だ。

私は後者。1つ言っておきたいのは、後者は断じて劣っているという事ではなく
日本人の奥ゆかしさを全面に受け継いでいるという事だ。
そしてそういう人間は『私のコーヒーないですよアピール』を磨く必要性がある。
私も日々、空になったコーヒーカップを鳴らしてみる、自分から遠ざけて置いてみる等の
経験と鍛錬を積んできたのでアピールのレベルはかなり高いと自負している。

昨日も私は喫茶店でコーヒーを頼んだ。早速おかわりをもらう為に
空のコーヒーカップをテーブルの端っこに置く。
店員のとてもかわいいお姉さんはそれに全く気付かなかった。
そこで今度はスプーンで軽くカップをつついてみた。空のカップは澄んだ音で店内に響いた。
お姉さんは、それがなにか。という感じであさっての方向を見ていた。
かなり手強い。私は最終手段として物言いたげな目で一心にお姉さんを見つめた。
そしてようやくお姉さんと目が合った。次にお姉さんは私のテーブルへと視線を落とし、
あっ、と、何か気付いたような顔をした。アピールは成功だ。
こっちへ近づいてくるお姉さんはテーブルまで来ると、そのまましゃがみこんで
私のテーブルの近くに落ちていたゴミを拾って、そのままどっかに行ってしまった。


そっちなのかよ!!!
私の中の三村が言った。
今までのくだりはなんだったんだ。なんだかものすごい疲労感だった。
「すんませーん!コーヒーおかわりくださーい!」
私はもう開き直ってふてぶてしい態度でお姉さんに言ってやった。
お姉さんはとてもかわいい笑顔でやってきてコーヒーをたっぷりついでくれた。

またひとつ、自分を嫌いになれた。
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