とても大事な契約書を郵送しないとけないことになった。

社会人経験のない私は契約書というものを書く機会があまりない。
びくびくしながら印鑑を押すと手が震えて印鑑がよれて汚くなった。隣に押し直してなんとか書類を完成させ、
書類を封筒に入れる際、最初に封筒ののりのシールをはがしてしまったため、
シールの部分に契約書がくっついてはなれなくなってしまった。なんとか破らずにはがしたけど、
契約書はぐしゃぐしゃになってしまって、ところどころシールにもっていかれて薄紙になってしまっている。
あまりの手際の悪さに恥ずかしくなったが、まぁ紙がよれても契約上は問題ないだろうと、そのまま封筒に入れた。

郵便局に持っていくと、郵便局はまだ空いていなかった。
営業開始は朝9時からなのに、私はなぜか郵便局は朝8時半からやってるものだと思い込んでいた。
いちいち家に帰るのもめんどくさいので郵便局の横のコンビニでコーヒーを買って30分待つことにした。
なんて自分は無能なんだろう。きっと私が会社に勤めていたら影で使えない社員と言われてたんだろうな…
そう思って凹んでいたら、盛大にコーヒーをこぼした。
封筒にもコーヒーがかかってしまったが、茶封筒なので見た目にはわからない。
ただ、中の書類にコーヒーがかかっているというのはなんとなくわかっていた。
めのまえがまっくらになった。

それから私は30分間考えて、あえてこのまま書類を出すことにした。
この際細かいことは気にしても仕方ない。紙がよれていようがコーヒーがかかっていようが知ったことか。
信用はなくすかもしれないが契約成立すれば同じことじゃないか。
郵便局員さんに封筒を手渡す際、もわっとコーヒーの香りが漂ったが、それがどうしたという態度で
手渡してやった。そう、これが私のやり方だ!

後日、契約の取引先から契約書が届いたと連絡があった。
私はあの時の開き直りも忘れて、あの時ぶちまけたコーヒーのことが怖くなって恐る恐る
「あの…書類は無事でしたか…?」
と聞いた。先方は、
「なんていうか、いろいろ大変だったみたいですね。」
とだけ言った。しにたい、と思った。
そして、続けて
「そっちは問題ないんですが、記入漏れの事項がけっこうありますので再度書いて提出し直して下さい。」
と言った。

自分みたいな人間が企業に勤めなくて本当に良かったと思う。
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