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スーパーの精肉コーナーをうろついていると、ふいに後ろから
「奥さん、奥さん。」
と声がした。振り向くと腰の曲がったおじいさんが私の方を見ていた。
ついに人妻に間違えられる年齢に到達してしまったのか…とそこそこのショックを受けている私に
おじいさんは
「豚の生姜焼きを作りたいんだけどどの肉を買ったら良いのかな?」
と言った。普段の私ならお金をケチってこま切れを買うが、相手はご老人だ。
私は国産のロース肉を勧めた。
「豚肉は生だと危ないですからよく焼いて下さいね。」
そう言って立ち去ろうとするとおじいさんは間髪入れずに
「悪いんだけど、作り方も教えてくれないかな?」
と申し訳なさそうに言った。私はなんだか切なくなった。
見た感じ、とても品の良さそうなおじいさんだ。この歳になって初めて生姜焼きを作るなんて
一体どんな理由があるというのだろう。
私は懇切丁寧に説明した。
「この量の豚肉だったらお醤油とお酒を大さじ1ぐらいで大丈夫です。お砂糖とみりんは
小さじ1程度でチューブのしょうがをおもいっきりだして全部混ぜ合わせて…」
でもおじいさんは調味料の配分が覚えられないようで何度も
「え?何?もう一回言ってくれる?」
と言った。私も最初のうちは根気強く説明していたのだがだんだんめんどくさくなってきて
調味料コーナーにおじいさんを誘導し、エ●ラの生姜焼きのタレをおじいさんに渡して
「これでできますから。」
と言って帰った。

あの夜、おじいさんはちゃんと美味しい生姜焼きを作れたのだろうか。
きっと作れただろう。思えば本当に紳士的なおじいさんだった。
そんなおじいさんを邪険に扱った自分にこの上ない自己嫌悪を抱きながら
私は晩ご飯のレトルトカレーを食った。
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